WORKS+Performance Data SACHIYO TSURUMI

縞縞
Striped Stripes
2004
25'

I. バベル (3'20'')
II. ドル (2'20'')
III. 円 (4'25'')
IV. ユーロ (4')
V. トレンド・ライン (3'25'')
VI. Now we have made it. (3'45'')
VII. グラウンド・ゼロ (3'35'')

作詞:松井茂

混声合唱、打(合唱団員により演奏)、ピアノ

縞縞【マザーアースより楽譜出版中】
T1003
縞縞
定価:3,150円
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【演奏記録】
東京混声合唱団 第194回定期演奏会
2004年3月20日(土)18:00~
会場:東京文化会館小ホール

東京混声合唱団 しらかわホール No.7定期演奏会
2004年7月2日(金)18:45~
会場:しらかわホール(名古屋)

東京混声合唱団 いずみホール No.9定期演奏会
2004年8月28日(土)18:30~
会場:いずみホール(大阪)

東京混声合唱団 大分特別演奏会
2005年1月23日(日)18:00~
会場:大分県立総合文化センター・グランシアタ(大分)

演奏:東京混声合唱団
指揮:田中信昭
ピアノ:中嶋香

東京混声合唱団 サラマンカホール 定期演奏会NO.9
2005年8月7日(日)18:30~
会場:サラマンカホール(岐阜)

演奏:東京混声合唱団
指揮:山田和樹
ピアノ:田島葉子

東京混声合唱団 第213回定期演奏会
大谷研二と4人の輝く女性作曲家
2007年12月18日(火)19:00~
会場:日本大学カザルスホール(東京)

演奏:東京混声合唱団
指揮:大谷研二
ピアノ:篠田昌伸

<プログラムノート>

「縞縞」を通じて、私が世界へ向けて抱いている、相反するふたつの欲望……多様な自己同一性の並列と、利己的な強い独裁意識……を提示しようと思う。

楽曲は、3系統15種類のテキストを、7つに分けて構成している。テキストの処理は、系、類によって異なる。構造を音化したもの、そのまま使用したもの、言葉を選択して使用したもの、私が意味に応じてテキストを追加したものがある。

編成は、メインコーラス、純粋詩隊、ナレーターと、ピアノ、タンブリン、ゴング。
純粋詩隊は、「純粋詩」を元に作られた音型を担当し、それを「縞縞」の教典として時計のようにしめす存在だ。テキストの文字「一」=パート1、「二」=パート2、「三」=パート3と対応している。各パートは、男女1人ずつのペア。 「純粋詩」のテキストは、曲の構造の一部として用いられており、それ自体が読み上げられることはない。

〈I. バベル〉:「縞縞1 バベル」「純粋詩1」
ナレーターとメインコーラスは、「縞縞1 バベル」を演奏する。擬音“ベ”“psu(プスー)”でリズムをとるパートは、自他の並存を意識化するためのアルゴリズムをあらわしたものである。“べ”は、ヒトが生まれ、まず発音しやすいとされる音声に由来している。“psu”は、ヨーロッパやアフリカにみられる、他者を呼びかけるときの音声。「縞縞」は、0(ゼロ)と360が重要な鍵を握っている。「縞縞1 バベル」のアルゴリズム、メロディの拍、音数は、360に基づいて操作されている。 「純粋詩1」は、純粋詩隊によって演奏される。「純粋詩」は、20文字×20行の400文字から構成されている。楽曲では、1文字を1拍として400拍で構成している。各パートが、2声によるヘクサコルド(6度)を保ちながら、全パートで長2度─短3度(男声:a ─ h ─ d、女声:fis ─ gis ─ h)、短3度─長2度(女声:fis ─ a ─ h)、長3度─短2度(男声:a ─ cis ─ d)の3種のテトラコルド(4度)を形成する。音程は“し”と“ま”で発声される。ピアノは、「純粋詩1」に附随し、男声と女声のテトラコルド(a ─ d、fis ─ h)の中間音のeを中心として、20拍毎に上下に完全5度で広がっていく。100拍で一巡するので、4回繰り返して完了する。 これに続く「純粋詩2〜4」は、〈II. ドル〉、〈III. 円〉、〈IV. ユーロ〉と同時に演奏され、「純粋詩1」と同様、“し”と“ま”で発声される。

〈II. ドル〉:「縞縞2 ドル」「セルフポートレート アメリカ」「純粋詩2」
ウェストコーストのコーラス、ソウル、ヒップホップ等、アメリカの大衆音楽をイメージしている。

〈III. 円〉:「縞縞3 円」「セルフポートレート 日本」「純粋詩3」
メインは、「縞縞3 円」を歌う演歌のデュエットである。「セルフポートレート 日本」は、アナウンサーのように、美しく(美しいとされている)はっきりした発音で読み上げられる。カラオケは、自他の並存を意識化するためのアイテムとして、日本にはとてもよく似合うと思う。現在のカラオケ界に貢献する、稀少なデュエット曲の一曲でもある。

〈IV. ユーロ〉:「縞縞4 ユーロ」「セルフポートレート ヨーロッパ」「純粋詩4」
教会の多声音楽をイメージしている。冒頭のハーモニーは、16世紀のイギリスの作曲家、トーマス・モーリー(1557〜1603)のマドリガルからの引用。七色の光芒(=ユーロ紙幣の色)のハーモニーは、私と松井氏が共通のファンでもあるアレクサンドル・スクリャービン(1872〜1915)が、《プロメテウス》で使用した色光ピアノを参考としている。

〈V. トレンド・ライン〉:「トレンド・ライン」
エンタテインメントの挿入曲。テキストのトレンドに合わせて、“うり”“かい”の合の手が入り、曲調もアップダウンする。私がこのトレンドを分析した結果、前半が「大恋愛波乱万丈の一生(ハッピーエンド)」、後半が「成り金は結局ダメ人生」となり、そのイメージからコミカルに仕上げた。 メインコーラス、純粋詩隊が全員で歌う。

〈VI. Now we have made it.〉:「縞縞5 ゼロ」「ワールド・イズ・ノット・イナフ」
前半は、ドル・円・ユーロそれぞれの自己同一性が並列する状態を、演歌、聖歌、ラップによる3声のポリフォニーで表現している。後半は、2004年3月現在ユーロが12カ国で使用されているという事実と対応して、各国それぞれに割り当てた12音のハーモニーと、〈IV. ユーロ〉で使用した七色のハーモニーの2種類を使って、1ユーロの為替相場をあらわしている。
メインコーラス、純粋詩隊が全員で歌う。

〈VII. グラウンド・ゼロ〉:「純粋詩5」
「純粋詩1」と同様、男声と女声は6度を保ちながら、それぞれ6つの音からなる全音音階を奏でる。「純粋詩4」の11行目から「純粋詩5」の最後までの部分で、テキストの12、13文字目が「三一」となるが、ここを節目にゴングが打ち鳴らされる。〈VII. グラウンド・ゼロ〉の演奏は、「縞縞」のテキストにある「ブラックホールのグラウンド・ゼロ」をあらわす。